北欧家具
北欧家具の特徴とその背景
デンマーク・スウェーデン・ノルウェー等北欧の地域は、古くから森林に恵まれ、寒い気候の中、質の高いしまった木が産出されてきました。工業化が日本のように進まなかったこれらの国は、近代になっても、それらは健在で、有数の家具メーカーやデザイナーを輩出しています。
北欧家具は、日本でも人気のある家具の一つですが、その特徴を端的に答えられる人はあまり多くありません。特徴として、「シンプルでスタイリッシュ」と表現されることが多いのですが、これで装飾が無い事はわかりますが、これだけで他と区別することは難しいでしょう。
もちろん、他のテイストと同様、正式な定義というのがあるわけではありませんが、ここでは、ぱっと見たときにこれは北欧らしいね、とわかるだけの北欧の特徴を、がんばってお伝えできればと思います。
一番のポイントになるのが、曲線・曲面です。曲線は、木が曲げ木やカーブ状に削られて曲線を描いている状態を指しています。そして、曲面は、木が円柱形に削られて使われている事を指しています。
これらは、特にフレームにあたる脚やアームに特徴的に表れます。こういった木を曲げる技術は、北欧がバイキングでも有名なように、地理上の観点から海路を重要な交通手段とし、船を作る技術とも関連していたと考えられます。
また、スタイリッシュと言われる所以にもなるのですが、木のフレームが細く、脚は下に向かって細くなる逆円錐の形状をしているのも特徴です。(中には、全く逆で、ラグビーボールのような形をした脚のものも北欧家具のデザインの特徴として存在するので、全てがスタイリッシュなデザインというわけではありません。)
これらの特徴は、ミッドセンチュリーに名を馳せたハンス・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンなどのデザイナー達によって、様々な素材に活かされ、樹脂を使った美しい曲面のチェアや複数の曲面が重なり合うような照明なども生まれてきます。これが北欧モダンです。
装飾性が無いシンプルさから、デザイナーの視点は、フォルムの美しさに注がれますが、もう一つ注視されるポイントが機能性です。大昔から家の中で暮らす時間が長い北欧の生活の知恵が、家具の使いやすさを進化させたとも言えるでしょう。
こういった機能性とシンプルさにスタイリッシュなデザインは、他のテイストともコーディネートしやすく、過度な特徴が出ることをあまり良しとせずちょっとしたアクセントをオシャレとして敏感に感じ取れる日本人が好みやすいテイストです。
それでは、具体的にいくつか見てみましょう。